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かかりつけ歯科医制度

   ここでは かかりつけ歯科医制度についてのべます。 「ヒトは歯のことばかりを考えて生きているわけではない」といわれています。しかし あなた あるいは あなたのお子様に 「かかりつけ歯科医」という立場の 行き付けの歯科医があったとしたら 少なくとも お口の健康に関しては安心できるでしょう。 ただし この 「行き付けの歯科医」が従来型の早期発見早期治療を いまだに行っているのではいけません。ぜひ 早期発見長期経過観察を行い、最悪の場合でもミニマール・インターベンション(最小侵襲療法)ということを実践していなくてはなりません。
 
 
下の写真は ある姉弟の口腔内です。
 
弟は6歳4ヵ月から18歳7ヵ月まで定期的な健診を受けていました。
1983.6.1
18年前 6歳4ヶ月
1995.10.13
6年前 18歳7ヶ月  最後の定期健診時
あるとき 受付で「僕のこと覚えているかい?」と言ったそうです。「○○君でしょ」 というと 嬉しそうに「どこも悪くないと思うけど診てくれますか」と言ったそうです。下の右側の写真がそのときのものです。最後の定期健診時と変わっていません。この間 一度も歯科にかかっていないということです。
1995.10.13
18歳7ヶ月  最後の定期健診時
2000.2.13
23歳11ヶ月  5年振りの来院時
この間歯科にかかっていない
つぎの健診時です。
2001.5.14
24歳2ヶ月  健診時です
2004年2月14日の健診時です。
2004.2.14
26歳11ヶ月
 
変化していないのがわかります。
 
 
 
問題は 姉です。 8歳7ヵ月から18歳0ヵ月まで健診を受けていました。 弟が来院したときに「お姉ちゃんはどうしている?」と聞きました。すると「お姉ちゃんは去年の夏ごろから歯医者にかかっている。ギンギラギンになっちゃった。」と言うのです。「一度 みたい と言っていた」と伝えてと話しました。
 
 
下の写真が 姉の口腔内です。向かって左下の奥から2番目(左の写真)、奥から3番目(右の写真)の歯は乳歯ですが後から生えてくるべき永久歯がないために はえかわらずに残っています。
1983.8.1
18年前 8歳7ヶ月
1992.12.14
8年前 18歳0ヶ月  最後の定期健診時
問題としたくなるのは 下の写真のように 手入れがよいにもかかわらず 昔ながらの考えで 早期発見早期治療を いまだに行っている歯科医が近くにもいる という 事実です。もし このような歯科医があなたやあなたのお子様の「かかりつけ歯科医」であったなら まじめに歯科にかかるたびに 歯を削られ 詰められ 外れ また削られ また外れ・・・神経をとられ かぶせられ 外れ ・・・ 中のほうが悪くなり 根の治療を受け かぶせなおされ また外れ もたないからといって 抜かれ 抜かれた歯の両隣を何でもないのに削ってブリッジを入れられ 外れることを 何回か繰り返し ブリッジができなくなり 部分入れ歯になり やがて 入れ歯を支えていた歯がだめになり もっと大きな部分入れ歯になり やがて 総入れ歯 になる という 悪循環に 陥る可能性があることを 頭に入れておかなくてはなりません。
 
できれば こうは なりたくないものです。 つい 余計なことを 書きました。
 
 
この子が来院したときにも まだ歯科にかかっていて 次に銀を詰める予定だと言っていました。見ると下の一番奥の歯が 浅く広く削られていました。
1992.12.14
8年前 18歳0ヶ月
2001.2.16
8年振りの来院時 26歳2ヶ月
現在歯科に通院中 次回インレー予定
8年振りにもかかわらず口腔内清掃状態は良好
インレーが11本入りあと2本セット予定
次回の 健診時です。削ってあったところには セメントを入れてあります。それだけで充分もっています。
2001.9.18
26歳9ヶ月 健診時です
姉の最近の口腔内です。
2004.2.3
29歳1ヶ月
 
姉のほうも まったく変化がありません。 歯は削ってはいけないと思います。
  この「かかりつけ歯科医」制度は2000年4月1日から始まりました。歯科医師会でこの制度の説明を受けたのは始まる前の週だったと思います。会から帰ってきて これは すごくいい制度が始まることになった ぜひ 初日から この制度で いきたい と思ったことを 覚えています。 この制度 とは まず 患者さんが 来院されたときに かかりつけ歯科医制度の説明をし、利用するかどうかをききます。利用されるなら この制度では 口腔内写真か歯の石膏模型で治療について説明することになっていますから 私の場合には (いつも通り)口腔内写真を撮りプリントを作り 診査結果と治療計画を記入したものを2部作ります。(一部は保管、一部は患者さんにお渡しします。) 始まった時の説明用プリントです。 しばらくたった時のプリントです。 この制度を 使って 3ヵ月が過ぎた頃 このまま続けるわけには いかないと感じました。
4月1日から使ったプリント。
5月のプリント。不備があると修正してつくりました。
 4月1日から6月30日まで3ヵ月間、600人分以上のプリントを2部ずつつくり、1枚は保護者にもう1枚はカルテのファイルに保存してきました。 しかし、私の診療室では15年前の開業以来、現症とともに治療計画を治療内容、来院予定回数などをチャートで説明し、すべてカルテにファイルしてきました。かかりつけ歯科医のプリントもファイルするとなるとたいへんな厚さになってしまいます。そこで、写真の部分だけを別にまとめてプリントし、保護者に渡したものと同じ内容を従来のチャートに記入することもためしました。
 
写真だけ集めてプリントしてファイルにいれました。 

しかし、定期健診のたびに他のファイルを開くのは不便です。それで 現在の方法 ハードディスクに保存する方法に変更しました。「必ずプリントをとっておく」ことはしていませんから 「かかりつけ歯科医」 ではなくなります。(と 思っていました 最近ハードディスクに保存してあればいいらしいと聞きました)
 
しかし パソコンに保存してあるので いつでも 必要な状態を見ることもプリントをつくることもできます。そのかわり ハードディスクは 増設を繰り返し 現在 255GB(2001年当時) となっています。またバックアップのために DVD-RAM、CD-R を備えています。
6月30日をもってかかりつけ歯科医を 
やめ現在の方法にいたしました
 
プリントアウトしたものをすべてカルテの
ファイルに保存しなくてはならない
従来のチャートと両方をファイルするのは困難
 
私は つい最近まで、 先日 ある パソコンの歯科医院用のソフトのデモに見えた方から 「かかりつけの初診で全部の患者さんに写真付きの計画書を渡しているところなど見たことがない」と聞くまで 歯科医で 「かかりつけ歯科医」 をしている 先生は すべての先生が模型を取ってそれを使いながら治療の説明をしたり、写真を説明用に選んだ先生は撮った写真をその場でプリントし、治療の説明をし患者さんに治療計画を記入した写真つきのプリントを渡し、同じプリントをカルテのファイルに保管しているものと思っていました。ところが 実際にそうしている先生はまだ少ないようです。2000年の3月の終わり頃 不完全ながらも 口腔内カラー写真と治療計画つきのプリントを 「かかりつけ歯科医」を選ばれた方には すべて 渡すことに決め 4月1日から実行してきました。 いままで 染色液で清掃状態を記録し その後の改善状況も記録し 少ないなと思いながらも 写真代を1枚10点、5枚まで、たいていは正面の2枚程度ですが 請求することもありました。 しかし、「かかりつけ歯科医」を選んだ場合 この写真代も含まれると言って 削られてしまいました。こんなことも 「かかりつけ歯科医」を やめた 理由のひとつにあげられる かもしれません。
かかりつけ…のときと同じように必ず保護者にわたす
 
 
プリントはパソコンのハードディスクに保存するだけ
7月1日以降「かかりつけ歯科医」を やめましたが せっかくのプリントを一度だけ渡しておわりにするわけにはいきません。そこで 保険の制度上は 「かかりつけ歯科医」 ではなく 従来のもので行い ただプリントは ○○様の口腔内状態 という プリントを お渡ししていました。 2001年4月1日からは 院内でプリントアウトしたものを保存しなくてもハードディスクなど電子的に保存すればよいということをきき 再び「かかりつけ歯科医」制度を取り入れることにして 現在に至っています。
 
 2004年2月12日現在 パソコンにつながっている 外付けハードディスクは560GBとなっています。
なかむら小児歯科医院
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